陰にて光咲く



目を細めてよく見ても、やっぱり線路上に人が立っているのだ。


まさか…
あいつ死ぬ気じゃ…


恐怖心を抑えながら踏切に近づいていくと、そいつは男だった。


20代…いや、もっと若い。


男は電車が来る方向の右側を見つめながら、じっと立っている。


踏切の前には踏切が開くのを待っている人や車もいないから俺以外、助けられる奴はいなかった。


まずい…このままじゃこいつは電車にひかれるし、俺もその場を見てしまうことになる。


それは絶対避けたかったため、意を決して男に向かって叫んだ。


「そこで何やってんだよっはやくこっち戻れよ‼︎」


男は叫び声が聞こえたようで、俺の方へ顔を向けた。


その瞬間、男と目が合う。


「こっこのままじゃひかれるぞ‼︎だからはやく戻れって‼︎」


続けて叫ぶと、男はまた前へ顔を戻してしまった。


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