陰にて光咲く



パアーン…


前方から電車が迫ってきて、男の顔が電車のライトによって照らされた。


嘘だろ⁉︎マジでこいつ死ぬ気かよ‼︎


「やめろっ死ぬんじゃねーよ‼︎」


それでも男は動こうとしない。


電車は止まることなく男に迫る。


「やめろっ‼︎」


俺の足は勝手に動き出し、遮断機をくぐっていた。


もう恐怖心どころではない。


そして男を抱え込み、線路から押し出すと地面に倒れこんだ。


目の前を猛スピードで電車が通過していくのを呆然と眺めていたところで、我に返った。


夢中で遮断機をくぐったことが自分でも信じられず、手と足が震えている。


とりあえず両方助かったんだ…


ほっとひと安心した時、隣から笑い声が聞こえた。


< 3 / 211 >

この作品をシェア

pagetop