夜の甘やかな野望
「この場所で、薪能かお茶会をすると楽しそうですよね?」
運ばれてきたタジン料理を宗忠が取り分けてくれているのに、手持無沙汰の倫子は自分の座っている出島を囲んでいるプールを見て言った。
水の向こうは更にガラス張りのカウンターが取り囲んでいる。
カウンターに座っている女性たちの目は、宗忠にずっと集中していた。
動物園のコアラかパンダを見ているみたいだ。
慣れているのだろう。
宗忠は全く動じていなかった。
倫子の方は、ちくちくする視線に若干いらついていた。
ただの職場のランチなんだから、やっかむなよ、だ。
「うん、いいね、それは」
うれしそうな声色に倫子は宗忠の顔を見た。