夜の甘やかな野望


「大勢の中の一人だよって?」


同期の男ならビビりそうな冷たい視線を向けた。


「ううん。僕、マザコンだよって」

「マザコンなんですか?」


予想外の素っ頓狂な答えに、呆けて質問してしまう。


「うん。
母みたいな人としか結婚する気はないんだ。
そんで嫁姑バトルには絶対、母の味方」

「うっわー」

「嫌でしょう?
だから仲のいい友達として、お付き合いしない?って。
一杯そういう人はいるけど、と断った上で」

「内藤先生、最低」

「ん?
 何が?」

「そこで可愛く首を傾げないでください。
 似合いすぎて怖いです」

「そう?」


宗忠はくすくす笑っている。
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