傷痕~想い出に変わるまで~
大花壇を時計の文字盤に見立て、数字が入る場所に同じ花を植える。

これから金城くんはこの書類を持って、早川さんと田村くんと一緒に花の種類や色についての打ち合わせにオリオン社に行くことになっている。

打ち合わせは順調に進んでいるようだ。


土曜日は社員食堂が休みなので、会社近くの喫煙できる喫茶店に足を運んだ。

サンドイッチとミニサラダのセットで軽い昼食を済ませ、食後は美味しいコーヒーを飲みながらタバコを吸う。

それが私の土曜日の定番。

別の店で昼食を済ませてコーヒーを飲みに来る門倉と会うこともある。

平日は日替りランチもあるけれど土曜はやっていないから、男の門倉には喫茶店の軽食では全然足りないらしい。

だからというわけでもないけれど、土曜日の昼食を一緒に食べることはほとんどない。

平日の昼は約束しているわけでもないのに、社食で会うと門倉は必ずと言っていいほど私の隣に座る。

仕事の後はしょっちゅう居酒屋で禊をしているし、門倉と一緒にいることが多いのは、いろいろ余計なことを言わずに済んでお互い気楽だからなのかな。

気楽で居心地が良すぎるからあまり意識したことはなかったけれど、最近の門倉にはなんとなく違和感がある。

昨日光と一緒に食事をした時にも、また別の違和感があった。

なぜなんだろう?

仕事のことなら自信を持って判断できるのに、恋愛なんて光としかしたことないから、男女の関係のことには疎いしキャパシティーが低いなと思う。


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