傷痕~想い出に変わるまで~
光と二人でカフェに行った日から2週間が過ぎた。

仕事の後や休日に会って何度か食事をしているうちに、少しずつ二人で会っている時のぎこちなさや息苦しさは薄れてきたように思う。

以前よりは自然に笑えるようにもなったし会話も少しは長く続くようになった。

けれどやっぱりまだ時折感じる違和感は拭えない。

ふとした時に過去のことを思い出して胸が痛むのも、お互いに相手の顔色を窺っているのも相変わらずだ。

できればもう光を傷付けたくはないし、私も傷付きたくない。

お互いにそう思っているからなのか、光は昔以上にとても優しくしてくれるし、私もできるだけ光と会う時間を作るようにしている。

昨日は日曜日で仕事が休みだったので、前に約束していた通り食事をするだけでなく、レンタカーを借りて少し遠出をした。

昔二人で行った想い出の場所に行ってみたいと光が言ったからだ。

そこに行けば昔みたいに二人ともなんの気兼ねもなく笑えるだろうか。

純粋にお互いを好きだった頃の気持ちを思い出せたら、私は光が好きだと言えるのかな。

そんなことを考えながら光の運転でそこへ足を運んだ。

山合にあるその牧場で景色を眺めて動物たちと触れ合った。

馬や牛や羊、そこで家族のように仲良く飼われている犬や猫やウサギやモルモット。

のんびり動物たちを見ているだけで心が和んだ。

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