傷痕~想い出に変わるまで~
眠さを堪えながら確認すると、メールは光からだった。


【お疲れ様。また仕事忙しいのかな。
次はいつ会える?少しでもいいから会いたい】


なんだか光に責められているような気がした。

昨日はやむを得ない状況だったとは言え光との約束を守れなかったし、光の顔をまともに見られる自信がなくて、次に会う約束をしなかった。

門倉との間にあったことはとても言えない。

光の気持ちに応えたいと思っていても、どうしても不安が拭い去れないのは確かだし、一緒にいると昔のことばかり思い出して、今はもう昔とは違うと改めて思うことも多い。

あんなに好きだったのにな。

5年前の傷は今もまだ癒えることなくズキズキと痛んで、つらかった記憶を呼び覚ます。

光との別れを想い出と呼ぶにはまだ早すぎる。

それなのに私の心は…。


なんと返信しようか悩んでいるうちにウトウトし始めた頃、またメールの受信音が鳴っていることに気が付いた。


【今日はお疲れ。まだ起きてるのか?
眠れないなら電話しろよ】


門倉め、またからかうつもりだな。

夕飯をごちそうになって送ってもらったお礼のメールくらいはしておこうか。

簡単なお礼のメールを送ろうと文章を作成し始めると、途端にまぶたが重くなった。

ウトウトしながら何度も文字を打ち間違えては消す。

ダメだ、眠くて画面を見てるのがつらい。

電話した方が早いな。

ボーッとした頭で電話帳画面を開き、門倉の番号を探した。

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