傷痕~想い出に変わるまで~
か…勝山…門倉…あった。

半分眠りかけながら通話ボタンを押した。

呼び出し音がふたつめの途中で途切れた。

「もしもし。」

「もしもし。眠過ぎてメールするのつらいから電話した。今日はいろいろありがとね。夕飯ごちそうさま。」

「え?」

珍しく門倉からの反応が薄い。

眠すぎて長い時間話す余裕もないから、その方が手短に済んで助かる。

「あと、送ってくれてありがとう。門倉がいなかったら間違いなく途中で寝てたわ。私もう眠くて限界だから寝る。腕枕で添い寝は要らないから、じゃあね。」

まるで留守番電話にメッセージを吹き込むかのように、一方的に言いたいことを言って電話を切ろうとした時。

「…瑞希、誰と話してんの?」

「……え?」

今、瑞希って呼んだ?

それにあんまり眠くて最初は気付かなかったけど、門倉の声じゃない。

「俺とは会えなくても門倉さんとは一緒にいたんだ。もしかして昨日も?」

「えっ?」

間違いない…光だ。

門倉に電話するつもりが眠さのせいで間違えて光に電話してしまったらしい。

一気に眠気も吹き飛ぶほどの最悪の事態だ。

「ごめん…すごい寝不足で残業中に寝そうになってたの助けてもらって夕飯までおごってもらったからお礼の電話しようとしたら間違えたみたいで…アドレス帳のあいうえお順が勝山門倉で前後で…眠くて限界で間違えたのに気付かなくて…。」

何を言っているのか自分でもわからなくなるほど必死で言い訳をした。

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