傷痕~想い出に変わるまで~
早めに残業を切り上げて会社を出た。

駅のそばまで来た時、背の高い見慣れた後ろ姿を見掛けた。

その隣には見たことのない綺麗な女の人がいて、長い髪を揺らしながら門倉に笑いかけている。

二人は親しげに会話しながら駅前のイタリアンレストランに入って行った。

駅前に新しいイタリアンレストランができたって私が言っても、トマトの嫌いな門倉は興味ないってバッサリ切り捨てたのに。

あの人とは嫌いなトマトも笑って食べられるんだろうか。

門倉にもそんな人がいるんだな。

いつまでも過去を引きずってハッキリしない私より、もっといい人が見つかったのかも。

別に私じゃなくたって、モテる門倉にはいくらでも相手は見つかるだろう。

おかげで決心がついた。

バッグからスマホを取り出し、これから会いたいと光にメールを送ると、どこに行けばいい?とすぐに返信があった。

私の自宅の最寄り駅で待ち合わせてスマホをバッグにしまった。

ずいぶん迷ったけど、これから光に返事をしようと思う。

仕事を辞めることはできないし、学生の頃のように長い時間一緒にはいられないけれど、それでもいいのなら。

もう一度光と付き合うと返事をするつもりだ。




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