傷痕~想い出に変わるまで~
光は笑みを浮かべながら穏やかな口調で話し続けた。

「子供は瑞希に似た可愛い女の子がいいなとか、庭のある家で休みの日には家族でバーベキューができたらいいなとか…。そんなことばっかり考えてた。でもそれは俺のおぼろげな夢であって、瑞希はそんなの望んでないってわかってる。」

光はきっと、昔もそんな夢を見ていたんだろう。

私にもそんな頃があったからわかる。

一緒に幸せになろうと約束して結婚したはずなのに、私たちはいつから別々の未来を目指して歩き始めたのか。

「瑞希がホントはあの人に惹かれてるのも、あの人が瑞希を好きなのも気付いてた。でも俺は瑞希を誰にも取られたくなかったんだ。邪魔してごめんな。瑞希が浮気なんかするわけないってわかってるのに、嫉妬してひどいこと言って…つらい思いさせてホントに悪かったと思ってる。」

光の言葉を聞いているうちに涙が溢れてこぼれ落ちた。

きっとつらかったはずなのに。

光も悩んだはずなのに。

「瑞希、最後にひとつだけお願い聞いてくれないか?」

「うん…なに?」

「別れた後ももう少しだけ…1年…いや、半年でいいから、俺だけの瑞希でいてくれる?俺も他の誰とも付き合わないから。」

どうしてそんなことを言うんだろう?

別れたらお互いのことはわからないはずなのに。

不思議に思ったけれど、私はそのお願いに素直にうなずいた。

「あと…寂しくなったらたまにはメールとか電話してもいいかな。」

「うん…いいよ。」

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