傷痕~想い出に変わるまで~
「離婚して家に帰ってきた時はずっと落ち込んでてね…自分がしっかりしてなかったから瑞希ちゃんを幸せにしてやれなかったって。でも光が亡くなる少し前にまた付き合ってたのよね?」

「はい…。」

「すごく喜んでたのよ。あの時はもう病気が見つかった後だったけど…瑞希ちゃんのために病気を治して、今度こそ幸せにしたいんだって。それは叶わなかったけどね…また一緒にいられて幸せだったって、亡くなる前に言ってたわ。」

今更ながら光の私に対する深い愛情を知り、胸が痛くて涙が溢れた。

もっとしっかり光と向き合えば良かった。

ちゃんと心から愛せたら良かったのに。

また後悔ばかりが胸に降り積もる。

「時々、会いに来てもいいですか?」

「それは嬉しいけど…瑞希ちゃんはまだ若いんだから、自分のために新しい幸せを見つけていいのよ。光もそれを望んでると思う。ただね…光のこと、忘れないでやって欲しいな。時々は思い出してやってね。」

忘れない。

忘れられるわけがない。

光は私が初めて本気で好きになって、大事な初めてのものを全部あげた人なんだから。

優しい光が大好きだった。

優しく私を呼ぶ声が大好きだった。

ずっと一緒にいようって約束をした。

その約束は果たせなかったけれど。

初めて私を愛してくれた人が光であることはこの先もずっと変わらない。


“じゃあまたね”


サヨナラした日の光の声が耳の奥に響いた。

光、大好きだったよ。

優しいサヨナラをありがとう。




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