傷痕~想い出に変わるまで~
「……神戸?」

「いや、俺また来月から本社に戻るから。」

「そうなの?」

それは初耳だ。

しかし転勤が多いな、門倉は。

「もう部屋決まったの?」

「これから。」

部屋も決まってないのに俺んとこ来るか?って…。

行けるわけがないのに。

「じゃあまだ門倉んとこ行けないじゃない。部屋決まったら呼んでよ。」

私がそう言うと門倉は立ち止まり、呆れた顔をしてため息をついた。

「…ホントにバカだな、おまえは…。」

門倉が私を抱き寄せて頬に軽く口付けた。

突然のことに驚いて顔を見上げると、門倉は優しい目をして笑っていた。

「俺の嫁になれって意味だ。気付け、バカ。」

「よ、嫁にって…急にそんなこと言われても…。」

いきなりそんなこと言われるとは思っていなかったから、どう答えていいのかわからない。

「おまえ俺のこと嫌いか?」

「嫌いじゃないけど…。」

「じゃあ、好きか?」

「……うん…好き…。」

「そうか、じゃあ決まりだな。」

ええっ、決まりなの?

そんなにあっさりと?!

「ちょっと待ってよ。」

「もうじゅうぶん待った。何年待ったと思ってんだ。よし、これから不動産屋行って部屋探すか。」

「部屋って…。」

「俺とおまえの新居。」

なんだこの急展開は?!

全然ついていけない!!

「そういうことはもっと慎重に考えないと!」

「もうこれ以上待てねぇから。とりあえず返事しろ。おまえはどうしたい?」




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