傷痕~想い出に変わるまで~
次の瞬間、ガツンと鈍い音をたてて門倉の額が私の額にぶつかった。

「いってぇ…。」

門倉は痛そうに声をあげて額をさすった。

私はあまりの痛さに声も出せず両手で額を押さえた。

痛いよ!この石頭!!

あんな至近距離で門倉の顔見たの初めてだ。

門倉の顔が近付いてきた時、ありもしないことをほんの一瞬でも想像してしまったことは恥ずかしいしカッコ悪いから黙っておこう。

「おまえね…そんなイライラしてたら話にならん。社食行くぞ。」

門倉はベンチから立ち上がり、まだ痛む額を押さえている私の腕を引っ張って立ち上がらせた。

「腹減ってるから余計にイライラしてんだろ?昼飯おごってやるから機嫌直せ。話はそれからだ。」


それから社食で一番高い和風ステーキランチをコーヒー付きでおごってもらった。

門倉はすごい勢いでステーキを頬張る私を眺めながら、少し呆れた顔をして日替わりランチを食べていた。

「それで、昨日何があった?」

食後のコーヒーを飲みながら門倉が尋ねた。

何があった?って…光と会わせたのは門倉なのに。

突然光がやって来て謝られて…あの人の話を聞かされて…それから?

「……頭下げられたよ、ごめんって。」

「それだけか?」

「あの時の女の人のこと聞いた。」

「それで?」

「…ずっと後悔してた、って…。」

門倉は顔をしかめてコーヒーを飲み干した。

「それでおまえはなんて言ったの?」

「逃げた…。それ以上何も聞きたくなかったから。」

「逃げたのかよ…。それじゃ意味ねぇじゃん。」


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