傷痕~想い出に変わるまで~
大事な話ってほどでもないのに。

若くてかわいい女子と食事する方が門倉の将来にとっては大事なんじゃない?

「彼女の誘いに乗ってあげたら良かったのに。」

「何言ってんだ。あんな小娘にはなんの興味もねぇよ。」

「あっそう…。」

当たり前かも知れないけど、門倉にも好みのタイプとかあるんだな。

若くてかわいい女子に興味がないとすれば、実は歳上熟女が好きとか?

まぁ、私には関係ないけど。


居酒屋に入り席に着くとまずはビールと適当な料理を注文した。

今日はあの女子大生風の店員はいないらしい。

門倉はビールを飲みながら私にお通しの小鉢を差し出した。

イカとトマトのマリネだ。

私は黙ってそれを受け取った。

「それで昨日何があった?」

「それ、2回目だよね?」

「あれじゃわからん。もっと詳しく話せ。」

詳しく話して聞かせるような内容でもなかったんだけど、仕方がないので昨日のことを話した。

「俺が悪かったって…ホントにごめんって頭下げて謝られた。うまくいかないのを全部私のせいにしてたとか、自分からは何も話さなかったのに、どうして俺の気持ちをわかってくれないんだって思ってたって。瑞希は俺より仕事が大事なんだって拗ねてたらしい。」

門倉は運ばれてきた枝豆に手を伸ばしながら少し首をかしげた。

「元旦那が会社に行けなくなった本当の理由はなんだ?」

「本人からは聞いてないけど…友達の話では同じチームの上司と先輩から嫌がらせっていうか、イジメみたいなことされてたって。」


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