傷痕~想い出に変わるまで~
7時前。

いつもより早めに仕事を終わらせ門倉と一緒に会社を出た。

いつも行く居酒屋とは真逆の方向に向かって歩く。

「それで今日はどこに行くの?」

「前の取引先の課長から教えてもらった創作フレンチの店があってな。その課長の友達がやってるんだってさ。俺も初めて行くけどうまいって評判らしい。」

「へぇ、楽しみ。」

会社から15分ほど歩いたところにその店はあった。

評判通り月曜日だと言うのにディナーを楽しむ客で賑わっている。

きっと若い女子の好きそうなオシャレで洗練された外観と、明るくて暖かみのある和やかな雰囲気の店内。

こんな素敵なお店ならもっと若くて可愛い女子を連れてくればいいのに。

…あ、そうか。

若くて可愛い女子は門倉のタイプじゃなかったな。

「いらっしゃいませ。」

ギャルソンらしき男性が美しい所作でお辞儀をした。

「岡見さんに紹介していただきました門倉です。」

「門倉様ですね。お待ちしておりました。どうぞこちらへ。」

奥の方のテーブルに案内され、ギャルソンにエスコートされて席についた。

やっぱりいつもの居酒屋とは違うな。

こんなお店に来るの、仕事の付き合い以外ではいつ以来だろう?

3度目の結婚記念日に光と二人でフレンチレストランに行った時以来?

「あれっ、もしかしてシノ?」

…シノ?

そんな懐かしい呼び方をされるのは何年ぶりだっけ?

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