傷痕~想い出に変わるまで~
「栄田さんはあの飲み会の前からシノを気に入って目ぇつけてたからな。プライドの高い人だからさ、後輩たちの前で光にシノを持ってかれて恥かかされたってめちゃくちゃ荒れてたんだ。」

「光にはあの後のこと話したけど、光がシノには言うなって。今だから言うけど、俺も岡見も光のフォローするの大変だったんだぞ。」

「そうなんだ…。ごめんね、迷惑かけて。」

サークルの誰も私にはそんなこと一言も言わなかった。

光が全員に口止めしていたのかも知れない。

「それでな…運悪く何も知らずに栄田さんと同じ会社に就職した上に同じ部署の同じチームに配属になって、あの人根に持つタイプだから光のことずっと恨んでたみたいなんだ。」

「何それ?器ちっさ…!!」

大の大人の男がそんな何年も前のことをネタに後輩を虐めてたって?

私の部下だったらただじゃおかないのに。

「おまけに光がシノと結婚してたのが気に食わなかったんだろ。新卒で結婚してるなんて珍しいから入社当初から目立ってたらしいしな。」

「それにあいつ優しいから、既婚者なのにけっこうモテたらしいぞ。もちろんその時は結婚してるからって誘いは全部断ったらしいけどな。」

それも初耳だ。

「栄田さんのチームに、結婚間近だって言ってたのに彼女にフラれた先輩と、婚活連敗で結婚できない40過ぎの上司がいたんだって。あとは栄田さんの下僕みたいな先輩とか。寄ってたかって嫌がらせされたってさ。」
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