鬼上司は秘密の恋人!?
はっとして目を開けると、そこは知らない場所だった。
はぁはぁと息を見出しながら、薄暗闇の中、必死で布団の中を手で探る。
そこにいつも隣にいるはずの祐一のぬくもりがなくて、息をのむ。
ここはどこ? どうして祐一がいないの? どうして私はひとりなの……?
「ゆういち……っ!?」
泣きそうになりながらそう叫ぶと、背後にある襖が細く開いた。
「どうした?」
低い声で問われ、ようやくここがどこか気がついた。
石月さんが連れてきてくれた、温泉旅館の客室だ。
呆然としながら振り向く私を、石月さんは心配そうに見下ろしていた。
「チビはこっちで寝てる。お前酔っ払って先に寝ちまったから、ひとりでそっちの部屋に寝かせたんだけど、寂しかったか?」
石月さんがそう言いながらこちらの部屋に入ってきて、震える私の前にしゃがみ込む。優しく顔を覗き込まれ、私は小さく首を横に振った。
「……すいません」
部屋で夕食を食べ、石月さんの飲むお酒を少し味見させてもらったりしているうちに、酔っ払って寝てしまったんだった。
迷惑ばかりかけている自分が情けなくて頭を下げる。
「別に。謝ることなんてねーだろ」
謝る私に素っ気なくそう言って、ぽんと頭を撫でてくれた。
「怖い夢でもみたか?」
頭を撫でた手のひらが、そのまま下へ落ちていく。
丸い後頭部を包むように撫で、うなじを通って頬に触れた。
まだ夢の余韻で冷え切って震える私の頬を温めるように、大きな手で包まれた。