鬼上司は秘密の恋人!?
 





大きな道路に面した歩道を、由奈と祐一と、三人で歩いていた。
由奈が車道側を歩き、真ん中に祐一、そしてその隣に私。
いつものように買い物をして、家に帰る途中だった。

その日の空を、はっきりと覚えてる。
ラムネの空き瓶みたいな、薄く透き通った空の色。そこに綿あめみたいなうろこ雲がいくつも浮いて、三人で指差して数えながら歩いていた。

いーち、にーぃ、さーん……。
十まで数えられるようになったばかりの祐一が、空に浮かんだいくつもの白い雲を指差して、嬉しそうに繰り返していた。
由奈と私の顔を交互に見上げ、楽しそうに笑っていた。

どうしてあの時、空ばかりみていたんだろう。
どうして私が車道側を歩かなかったんだろう。
どうして、あの日、あの時間、あの場所にいたんだろう。
あと数メートル先を歩いて入れば。あと数十秒違っていれば……。

綺麗な青空が、急に真っ暗になって顔を上げる。
大きな影が視界を覆う。

由奈が、祐一を強く押した。
私は咄嗟に祐一を抱きしめ、そのまま路肩の草むらに倒れ込む。
ひとり歩道に立ち尽くす由奈に向かって、大型トラックが襲いかかるように突っ込んでいく。


その全てがスローモーションで見えた。






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