鬼上司は秘密の恋人!?
固いラグの上で、ぼんやりとまどろむ。
カチカチと進む時計の秒針、時折外を通る車の音、冷蔵庫の低いモーター音。
そんな音が響く、静かな部屋で、石月さんの腕を枕にして、うとうととしていると、背後から長い腕が伸びてきて、ぎゅっと抱きしめられた。
「もうそろそろ、時間か」
そう言われ、顔を上げる。
窓から差し込む西日に、レースのカーテンが赤く染まっていた。
壁に掛かった時計を見て頷くと、抱きしめる手に力が込められる。
「お迎え行かなきゃですね。石月さんに会えたら、祐一すごく喜びますよ」
私がそう言うと、石月さんは「ん」と短く頷いて、私の後頭部に顔を埋める。
高い鼻と唇が髪の中に潜り、つむじにちゅっとキスをした。
くすぐったくて笑いながら振り向くと、今度は唇にキスを落とされる。
触れた肌と肌が気持ちよくて、離れ難くて、鼻をこすり合わせるように、短いキスを繰り返す。
思わずくすくす笑うと、石月さんが首を傾げた。
「ん?」
顔を覗き込まれ、私は首を横に振る。
「だって、石月さん、すごく優しいから」
私がそう言うと、石月さんがこちらを睨んだ。