鬼上司は秘密の恋人!?
「えー?」
「いいだろ。子供ひとりで行くわけでもねぇし」
「でも……」
「特別だよ、特別」
「とくべつ!」
私の言葉を無視して勝手に盛り上がる男ふたり。
「おいチビ、一個だけ好きなもん買ってやるからな」
「やったー!」
「もう、そうやって甘やかさないでください!」
「特別だもんなー?」
「とくべつー!」
脳天気にはしゃぐふたりに頬をふくらませると、「お前は行かねぇの?」と石月さんが聞いてきた。
「お前もなんか好きなもん買ってやるぞ」
「いこうよ、ゆきー」
への字口する私に向かって誘惑する男どもに、私は「もう……!」と眉をひそめながら立ち上がる。
「仕方ないから、ついていってあげます」
そう言うと、祐一と石月さんは顔を見合わせて笑った。
石月さんはビールとおでんの大根と牛すじ。
わたしははんぺん。
祐一はシール付きのチョコを買ってもらって、ぶらぶらと三人で夜の道を歩く。
もうすぐ満月が近いのか、ふっくらと太った月が蜂蜜みたいな優しい色で夜空の雲を照らしていた。