暴走族に恋をする。



━━翌日


「行ってきます。」


「桜子、バスの中でもちゃんと勉強するのよ?」


「うん。」


いってらっしゃい、なんて言葉はない。
お母さんはいつだって勉強のことばかり。
遠足なんて、無駄だって思ってる。

そしてそれは、私も一緒。


何が楽しくて動物園にいかなきゃいけないの。


「桜子ちゃん。」


…え……


「………なんでいるの?」


玄関を出ると、家の前に大津快斗が立っていた。


「一緒に行こうかと思って!」


「…なんで家を知ってるの?」


「だって前桜子ちゃんがこの家に入ってくとこ見たから!
学校から近いんだねー。」


「…………本気でストーカー?」


「い、いや!見たのはたまたまで!
俺ねー、そこの通りをずーっと真っ直ぐ行ったところが家なんだ。
だからここらへんは通り道。」


「だから、たまたま?」


「そういうこと。
ね、一緒に学校行こ!」


「…………遠慮します。」


私はそういって、さっさと学校へ歩き始めた。


「じゃあ後ろついてく。」


「ついてこないで。」


「だって行き先一緒なんだから仕方ないじゃん?」


「…あ、そ。」


「え、いいの?いいの?
やったね!
拒否されないなんて!!」


なんていうか…初めて見た私服は、思った以上にかっこよかった。
なんとなく、制服よりヤンキー感がない。

…………今思えば、確かにかっこいい顔なのかもしれない。
笑うと可愛くて、目がくりくりしてる。

ポメラニアンみたい。ふわふわしてて。
背が高すぎないところとか。



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