暴走族に恋をする。
そしてなんとか私はクラスでも格別に静かな山田くんとペアになった。
本当に陰キャラだから喋らなくて済むのは助かる。
それからは大津快斗が私に話しかけることもなく、今日の学校は終わった。
「天宮さん、さっきは本当にありがとう!」
「いえ、こちらこそありがとうございました。
では私は塾がありますので、これで失礼します。」
なんか、早坂さん…
見た目のわりに礼儀はしっかりしてるのかも。
ちゃんとお礼言える子なんだな。
「桜子ちゃん!」
…………またか。
「…なんですか?」
そう答えつつも、昇降口に向かう私の足は止まらない。
「俺のとなり、そんなに嫌なの?」
「少なくとも、私より早坂さんの方があなたの隣で喜んでいるから。」
「でも俺は桜子ちゃんの隣がいい。」
「じゃあどうして早坂さんに、もっと早く言ってと言ったのですか?
あれは本当は早坂さんがよかったけど、妥協して私を選んだと言う意味だと私は判断しました。」
「そんなの、そう言った方が相手も嫌な気をしないからで…」
「そういう嘘は相手を一番傷つける。」
「そう、だけど」
「その場のノリで相手を喜ばせていいほど
人の気持ちは軽くない。」
私がそういうと、大津快斗はもう追いかけては来なかった。