暴走族に恋をする。
「ただいま。桜子帰ってる?」
あ、お母さんの声だ。
「はい。」
私はすぐに立ち上がり、帰ってきたお母さんを出迎えに行った。
「テスト、どうだったの?」
「……はい。」
なんか、前と同じセリフなのに空気が違うだけでこんなにも違うものなのか…
「あら、8位じゃない。
よくやったわね。」
「それで、あの…快斗とクラスメイトの友達が来てるんだけど…」
「え?」
「どうも、お邪魔してまーす。」
快斗は自分の足で、杖をつきながらこちらへ来た。
「あ…じゃあ外の車イスは彼の…」
「うん。
あの……いい?」
「いいわよ。」
お母さんはそういって、笑顔を私に向けた。
「桜子。」
「はい。」
「塾にはもうやめると連絡したから。
これからは、自分で頑張るのよ?」
「……はい。」
「大丈夫ですよ。
俺がずーっと一緒にいるんで!」
「ちょ、快斗。」
快斗は思いっきり、私の肩を抱いた。
お母さんの目の前で。
……しかもかなり体重をかけてきて。
「初めまして!俺は日比野暁斗っていいます!
一応、快斗の次に頭いいです、俺。」
「あら、そうなの?
すごいわねぇ。
よかったらご飯食べていってね。」
「はい!」
……前まで、自分は頭悪いみたいな言い方してたくせに。