群青色、君の色。





稽古が始まった。
先生に稽古をつけてもらうのを待っていると、道場の真ん中の先生と稽古をしている難波さんの姿が目に入った。

新幹線見たいに動きが早くて、稲妻のように鋭い技を打っている。
思わず見惚れてしまう。

「こなつ、大丈夫?」
横から声が聞こえてびくっとした。
「美桜(みお)ちゃん!」
彼女は私よりも一歳年上で、小学校五年生の頃からずっと一緒にいる親友だ。
「めっちゃぼーっとしてたじゃん。
どうしたの?」
「いや、ちょっとね、難波さん剣道上手だなぁって思って」
そしてなにより、この人はものすごく鋭い。
「え、好きなの⁉︎」
「なわけ」
少々、早とちりではあるが。

「切り返し〜!」
仲良くお話していると(本当はいけない)、先生がそう叫んだ。
切り返しというのは、剣道の稽古のはじめと終わりに行う整理運動である。

「よっしゃ! 稽古終わる!」




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