コミュ障なんです!
「和賀さん、俺の事好きだって言ってくれたよね。聞き間違えじゃないよね」
「え! あ、いやそれは」
言ったけどさ。
でもだからと言って付き合うって話までしてないよね。
いきなり泊りとかないから。私そんなに慣れてない。
「……だから余計、泊りなんて」
赤くなって口ごもったら、つられたように永屋さんも黙り込む。
「あ、そうか。うわ、かわいいなぁ。でも……帰したくないなぁ」
そしてぎゅっと私を抱えている手に力を込めた。
私の頭が彼の胸に押し当てられる形になり、彼の心臓の音が聞こえてくる。
脈がすごく早い。彼も私と同じようにドキドキしてるのかな?
と考えてはたと気づく。
……いやいや、違う。私を抱き上げたまま階段上ってるからじゃん。
普通に階段上るよりかなりの運動量だよ。しかも酔っぱらってるのに、倒れるって。
「と、とにかくおろしてください! 腰を痛めますよ」
「腰って……やっぱ和賀さん面白いなぁ」
面白いとかじゃなくて、自分の体重の半分以上の重さを持つっていうのは普通に腕と腰に負担の来るものじゃないか。
「離したら逃げていきそうだしなぁ」
「逃げないから! おろしてください」
「ホント?」
クスクス笑いながら、二階と三階の間の踊り場でようやくおろしてもらう。
酔いもあってか軽くくらりと頭が回り、桟に寄り掛かったけれど、少しじっとしていたら落ち着いてきた。