コミュ障なんです!
わなわなしながら、それでも言葉が出てこず口をパクパクとだけさせていると、永屋さんがふっと笑って手を離した。
「ああ、ごめん。柔らかそうだったからつい」
つい、じゃないよ。
向かいに座る美波ちゃんだって、目を丸くしているじゃないの。
「下向かなくていいよ。分からないなら相談する、君の姿勢は正しい。一番困るのは暴走されることだからね」
つままれた頬に手を当てる。なんだかまだ感触が残っているような気がして、ふいに胸がドキドキしてくる。
「困ったらいつでも言って」
爽やかスマイルを見せた瞬間に、「おい、永屋ー」と遠くから呼ぶ声が聞こえる。山海さんと田中さんだ。
「あ、今行く」
永屋さんは立ち上がり、私の肩をポンと叩いていく。
……この人、スキンシップが多くないですか。
無意識なの? イケメンだから今まで嫌がられたことなかったんでしょうけど、慣れてない私は本当に困るんですけど。
彼がいなくなって、美波ちゃんは私の方に身を乗り出してきた。
「……本当に昨日、永屋さんと何にもなかったの?」
そんな風に聞かれるくらいには、私の顔は赤かったのかもしれない。
必死に頷いたけれど、信じてもらえたかどうかは危うい。