好きを百万回。 〜Revenge at Boston〜
矢口が乾杯、と持ち上げたグラスをワザと気付かない振りをして一気に半分くらいを飲み干す。
何に乾杯だ?
アホらしくて笑いがこみ上げた。
クラムのフライやスチームロブスターがテーブルに並べられる。
「適当に頼んだから遠慮せず食えば?」
「はい、いただきます」
少しずつ自分の取り皿に料理を取り、一口食べるたび美味しいと口にする。
「ーーーーーなあ、木下は元気にしてる?」
矢口の料理を口に運ぶ手が束の間止まり、微かに眉間に皺が寄るのをオレは見逃さなかった。
だが敵も強かだ。
上手に痛ましそうな表情を作る。
「・・・・・・・・・・お母様が亡くなって元気がなかった時期もありましたけどーー」
「けど?」
「噂なので・・・・・あの・・・・・」
「ええよ、何でも言って」
「ーーーー野波さんと付き合ってるときから不動産屋にお勤めのカレがいてて・・・・・野波さんよりそっちのカレを選んだって・・・・・」