好きを百万回。 〜Revenge at Boston〜
テーブルに着くとすぐに勝手にボストンの地ビールを2人分オーダーした。
矢口相手に好みの飲み物を聞くのも邪魔くさい。
「ご無沙汰してます。今日は急なお願いを聞いていただいてありがとうございます」
少し暗めの照明の中、テーブルの向こうから矢口が殊勝な言葉を口にする。
「寂しくて会いたくて・・・・・我慢出来なくて来ちゃいました」
少し俯き加減で上目遣いでオレを見る。
どうやったら自分がいちばん相手に可愛く見えるか知り尽くした、戦い方を知っている女。
「・・・・・・・・・・オレも凄く矢口に会いたかったよ」
真っ直ぐに見つめて言うと、一瞬で矢口の顔が喜色に染まる。
会いたかったのは本当だ。
会いたくて会いたくて、夢に見たほどだ。
ウェイターがビールを運んできて、料理を適当に注文した。
「野波さん、大学はどうですか?」
「ああ、大変やけど面白い」
「銀行でも野波さんはすごいってみんな言ってます。帰国したらますますエリートコース爆進やねって」
ーーーーーーーだからお前のお眼鏡にかなってしまった。