塩素系と酸性系の洗剤を混ぜれば塩素ガスが生じてしまうのだけれど、私達もそんな風に相容れないのかしら?
叶わぬ恋をした。



闇に堕ちた弑と闇に染まった葛霸。


愛を知った弑と愛を感じた葛霸。



「そもそも私がいなければ良かったのよ。望まれて生まれてきたことは理解しているけれど。」



体質のせいで狙われる日々を過ごしても、大切な人達に囲まれた生活は楽しいものだ。



「でもね、生きてきたことだけは後悔しているわ。」



そう言って、葛霸は自らに凶器を向ける。



「実験ね、実は再開しているの。でもことごとく失敗していて。被験体の耐性が悪いらしいわ。貴方を寄越せと言ってきているのよ。」



説得するから待ってくれと前ボスと葛霸が稼いだ時間も、もう限界を越えている。



「幼かったとはいえ、辿って行けば今の状況を作りだすよう仕向けてしまったのは私自身なのよね。」



どれだけ名が知られていても、同盟が協力してくれたとしても、マフィアを束ねる上層組織の強さは計り知れない。


弑よりファミリーを優先した結果だ。



「前ボスである父はもう居ない。私が居なくなれば、貴方はファミリーを抜ければいい。現ボスなら根回しぐらいはしてくれるわ。」



そして気兼ねなく、暗躍者の闇を破壊しに行けばいい。
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