透き通る季節の中で
 美咲と友紀は、毎日お見舞いに来てくれた。
 
 私の勉強が遅れないように、ノートのコピーを持ってきてくれる。
 受験用の参考書まで持ってきてくれる。
 そんな二人の優しさに、私は涙した。

「ねえ、咲樹。よかったら、あたしと友紀の家庭教師になってもらえないかな」
 美咲が恥ずかしそうに言った。
「そうそう、前から頼もうと思ってたのよ」
 友紀も恥ずかしそうに言った。
「別にいいけど、私はそんなに頭は良くないよ」
 頼まれたのは嬉しかったけど、私はまだ外に出られない。美咲の家にも友紀の家にも行けない。
「咲樹は、あたしと友紀よりずっと頭が良いじゃん」
「そうだよ。お馬鹿な私と美咲に勉強を教えてよ」
「咲樹が歩けるようになるまで、ずっと咲樹の家に通うからさ」
「私もずっと通うよ」
 ここまで頼まれると、引き受けないわけにはいかない。
「じゃあ、これから三人で一緒に勉強していこうか」
「やった! ありがとう!」
「うほほーい! やったあ!」
 美咲も友紀も喜んでいる。
「三人揃って同じ高校に入れるように、頑張ろうね」
 美咲が明るい声で言ってくれた。
「それじゃあ、さっそく明日からね」
 友紀の声も明るい。
「わかった。明日からだね」
 私は快く返事をした。
 
 私は美咲と友紀の家庭教師。そして、私も頑張って勉強する。
 
 美咲と友紀と同じ高校に進学できるように。
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