Bar『never night.』の訳アリな人達。
語尾に音符が付く調子で掛けられた言葉に「こんばんは」と返し、女性の左隣りの席に腰を下ろす。
ここはバー“never night.”。
バーテンダーの沼氏(ショウジ)が経営者している、繁華街の〔無法地帯〕にある小さな店だ。
トコ犬の右隣りの女性・涼(スズ)は、そんな危険と隣り合わせのこの店に通う、訳アリなOLであった。
トコ犬は横目で涼を見た。…刹那、椅子から立ち上がり、鋭い目を涼に向ける。
正確には、涼の膝の上で丸くなっていた猫に向けたのだが。
あの猫は野良でありながら店に住み、涼に甘えて可愛がられる、トコ犬の宿敵である。
トコ犬は眉間に皺を寄せて「ヴッ」と唸った。
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