天満堂へようこそ
同時にいれたのは、後で嫌だと言われても困るから。

「すぐに目を覚ますだろう。
話せる時間は10分。その後に、
もう一つの薬が効いてばぁさんは眠りにつく」

「はい」

「外で待っている」

そう言い廊下で待つこと5分。
中から奏太がばぁちゃんが呼んでると言うので入らせてもらう。

「結月ちゃんかね...ありがとうよ」

目配せして話したか聞いたら首をブンブン横にふる。

「知ってたんだよ。なんとなくだけど。
ありがとうね。
奏太、ばばの家を売って結月ちゃんにちゃんと払わないといけないよ」

「ばぁちゃん...」

「後のことはお任せください。
知り合いの弁護士に任せますので」

「あぁ、やっと心配事がなくなったよ。
奏太も大丈夫だね?」

「ばぁちゃん俺...」

最後だと思い病室を出る。

暫くして医師や看護婦が来たが、そのまま亡くなったのだろう。
奏太の鳴き声だけが廊下に響いて来た。

中にはいるわけにもいかないので、廊下から奏太に向かって、
記憶を消す作業をした後そのまま病院を後にした。
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