ろ う そ く

「はぃ‥。」



「偶然やなぁ。俺もこの近くやねん。
もしかして、バレンタインのん買ったん?」


先輩は私が持ってる袋を見て言った。


「はい。」



「好きな人おるって、いいな。」



その時、先輩は、少し寂しそうな表情でそう言った。


何かつらい事があったんやろうか。


「好きな人に‥あげるんじゃないです。」



「なんか女子の間で流行ってる…友チョコ?」



「ぁ、ま、まぁ‥。
そうですね。」



「昔の男を思い出して」なんて、カッコ悪くて言えないよね。



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