君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
素気ない態度で、伊織は校庭に向かう足の動きを早める。
「多分、ていうか絶対伊織に告白するためだろ。いいの」
「どうせ断るし」
「……また断っちゃうんだ」
「そういう類だって、先々週告白されたのに断ってたじゃん」
「あれは、まだ1、2回しか話したことない子だったから」
「断ったことに変わりはない。類も俺のこと言えないな」
伊織はするりと受け流してこの話はもう終わり、と手を叩いた。
伊織に告白してくる女子のタイプは本当に色々で、可愛い子から美人な子、同学年から先輩まで幅広い。
だけど、どのタイプでも性格がいい子でも断っていて。
クラスの男子はそれを羨ましがってる。そりゃそうだ、あらゆる子を選び放題なんだから。
伊織はいつも告白を部活で忙しいからだとかいう理由で断ってるみたいだけど、多分本当の理由は違うんじゃないかって思ってる。
何でだろう、軽い気持ちで聞いてはいけない気がした。