君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】




よく似た顔が2つ、空を見上げてる。


所々青空が覗いていて、代わりに灰色の雲はどんどん遠くへ流れていった。


少ししてやっと雨はやみ、花壇に植えられた赤や黄色の花についた雨粒がキラリと光る。さっきまでの曇天が嘘みたいに鮮やかな景色に変わる。


「晴れたわね!綺麗な青空」


「亜紀、子供っぽい」


「いいじゃない。本当に綺麗なんだもの」


空に向かって両手を広げ笑う亜紀を見ながら、伊織も微笑む。


そんな2人を見ていたら小さな違和感なんて吹き飛んでいった。



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―――――………


本格的な夏を迎え、うだるような暑さに勘弁してくれといいたくなる毎日。


「暑い……」


パタパタ教科書で扇ぎながら廊下を歩いていると、『柚月!』と声をかけられた。声のした方を向けば隣のクラスのやつが。


「悪い、この教科書お前から永瀬に返しといて!」


「分かった。返しとく」


「さんきゅー!」


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