君と罪にキス【加筆修正・番外編追加】
活発でよくはしゃぐ柚月君と落ち着いている伊織君は一見性格が合わなさそうにみえるけど、上手く波長が合うようでクラスは違えどよく一緒にいるのを見かける。
「類、そんなに食べたらなくなる」
「どうせまた女子が買ってきてくれるだろ」
全くもってその通りだ。明日にはまた新作や限定のお菓子を持って伊織君の周りに集まるんだから。
「それでも、ダメ」
「はーん。そういうこと言うんだったら俺クラスに戻ろっと」
分かりやすく溜息を吐き、ツンとした態度で伊織君から離れようとすると。
「待って」
背を向けた柚月君の手首をパシリと掴む。
「食べていいから。行くな」
それは、反則だろう。心臓がトクンと小さく跳ねる。
瞳を潤ませて行くな、って。飼い主に捨てられそうな子犬みたいだ。
この伊織君の姿を見た何人かの女の子が頬をピンクに染めあげたのは言うまでもない。
伊織君の接し方その2、彼を冷たく突き放してはいけない。
なにせ伊織君は寂しがり屋だ。冗談でも冷たくあしらわれるのは苦手なようで。
「……絶対そう言うと思った」
「確信犯かよ」
「まーな。んじゃ、いっただきまーす」