借金のカタに取られました
エピローグ
春の日差しが注ぐ、ある日の午後

カズさんは、幼い子の手をひきながら歩いている。

右手を繋いでいるのは航太(コウタ)、七歳
左手を繋いでいるのは千珠(チズ)、五歳

「ねぇ、カズちゃん、どこへ行くの?」 好奇心旺盛の航太が聞く。

「今から、パパの会社へ行くんだよ。パパが造ったホテルが十歳のお誕生日なのよ。だからお誕生日会に行くの」

ホテル前には
「祝 開業十周年 HOTEL MINOSHIMA」の文字

三人の姿を見て、牧田が駆け寄る。

「カズさん、会長はこちらです」と案内する。

「社長が自らお迎えなんて申し訳ないわ」とカズさんが言うと、牧田は照れたように笑う。

ロビーで忙しくしている航平に向かって
「会長、カズさんとお子様が来られました」

航平は子供達に目線を会わせ
「航太! 千珠! 良く来たな。カズさんも今日は楽しんでいって下さい」



会場の準備が整い、パーティーは始まり、大勢の取材陣や招待客が集まっている。
司会者がマイクを持つ。

「それでは、当ホテルの支配人、箕島千那からのご挨拶です」

盛大な拍手と共に、千那は笑顔で現れる。


END
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