爆発まで残り5分となりました
「え……っ?」
乾いたような声が、キュッという上履きの音の後に、遅れて聞こえてきた。
悠真は続ける。
「狙われるかも分からないんだろ?だったら、別に貰ってもいいじゃん。これでお前らが助かるかもしれないんだし、ヒントも見れるわけだし。
普通に良いことづくしじゃねーか」
朱美が「あちゃー……」と頭を抱えた後に、苦笑いして、松崎さんに言う。
「松崎さん……そういうことで、私たちのリーダーは馬鹿だから。それでもいいかな?」
「ふぇ」と、言葉にならない声が、松崎さんの口から溢れる。やがて、松崎さんは唇を強く噛むと、また深々と頭を下げた。
「……本当に、ありがとう……っ」
松崎さんがいなくなってから、廊下を歩いている時。独り言のように、轍が言っていた。
誰にも聞こえないように言っていたつもりだったけど、私には聞こえてた──。