爆発まで残り5分となりました
肆、悠遠を繋いで
時刻はどれぐらいだろう。
まだ朝日は昇らない。きっと、午前零時も過ぎていない。
黒く濁った壁を抜けた先に広がる、世界。
その世界が目に映った瞬間、やっと試練を乗り越えてここまできたのだと、悟った。
月明かりを受けて薄明かるく光る桜の花びらが、数枚。ひらひらと舞い落ちる。
まるで、雪が降っているようだった。
少年が一歩前に出て、ゆっくりと落ちる花びらを、一枚。優しく手ですくった。
「全部……終わったんだな」