イジワル御曹司に愛されています
「お前、協会に営業かける気だろ」
喫煙室にPCを持ち込んで仕事をしていたら、同期の倉上が入ってきた。さっきの会話を聞いていたに違いない。
ガラス張りの喫煙室は、廊下側を向いてカウンター席が設置されており、誰がいるのか外からすぐにわかる。
名央は隣の椅子から上着をどけてやりながら、にやりとした。
「当然」
過去に何度も断られたから、なんだというのだ。しかもあんな愚にもつかない断り文句だったのなら、それは単に向こうの担当者の頭が固いだけだ。数年たてば人も入れ替わる。話の通じる相手がいるかもしれない。
「仮にもクリーンエネルギーと銘打たれた場に、あの協会がいないなんて嘘だろ」
「ま、どう考えても業界トップクラスの知名度だもんな」
協会自体は小ぢんまりと、150名程度の従業員で構成されている。しかし理事に名を連ねているのは政治家や業界の権威たちの、そうそうたる顔ぶれ。
メーカーだろうが研究機関だろうが、協会となんのかかわりもない団体なんて、この業界にはいないとこれまでに学び、なんとしてでも誘致したかった。
「お前が協会さん取ってきたら、俺が事務局担当してやるよ」
「相手が天下りのどうしようもないじいさんとかでもか?」
「俺は相手を見て仕事変えたりしないぜ」
いけしゃあしゃあと言う倉上は、女性が相手だと特別働きがよくなると自分でも言っているし、周りもそう認識している。普段から切れのいい仕事ぶりなのが、目に見えて130%くらいに増量される。
名央は最後のひと吸いを味わうと煙草を捨て、「準備ができ次第行ってくるよ」とこの楽しい同期に約束した。
* * *
「やっぱりダメだった?」
「えっ?」
協会を訪問してきた後、デスクに戻った名央は、先輩からかけられた声にはっとした。時計を見れば、協会にアポを取った時刻から数時間が経過している。
何時に帰社したのか記憶もないが、少なくとも一時間ばかり、自動操縦のように仕事をしていたらしいことが、PCを見てわかった。
「いえ、大丈夫でした。課題はもらいましたが、セミナーの協力、出展とも間違いないです」
「本当か!」
喫煙室にPCを持ち込んで仕事をしていたら、同期の倉上が入ってきた。さっきの会話を聞いていたに違いない。
ガラス張りの喫煙室は、廊下側を向いてカウンター席が設置されており、誰がいるのか外からすぐにわかる。
名央は隣の椅子から上着をどけてやりながら、にやりとした。
「当然」
過去に何度も断られたから、なんだというのだ。しかもあんな愚にもつかない断り文句だったのなら、それは単に向こうの担当者の頭が固いだけだ。数年たてば人も入れ替わる。話の通じる相手がいるかもしれない。
「仮にもクリーンエネルギーと銘打たれた場に、あの協会がいないなんて嘘だろ」
「ま、どう考えても業界トップクラスの知名度だもんな」
協会自体は小ぢんまりと、150名程度の従業員で構成されている。しかし理事に名を連ねているのは政治家や業界の権威たちの、そうそうたる顔ぶれ。
メーカーだろうが研究機関だろうが、協会となんのかかわりもない団体なんて、この業界にはいないとこれまでに学び、なんとしてでも誘致したかった。
「お前が協会さん取ってきたら、俺が事務局担当してやるよ」
「相手が天下りのどうしようもないじいさんとかでもか?」
「俺は相手を見て仕事変えたりしないぜ」
いけしゃあしゃあと言う倉上は、女性が相手だと特別働きがよくなると自分でも言っているし、周りもそう認識している。普段から切れのいい仕事ぶりなのが、目に見えて130%くらいに増量される。
名央は最後のひと吸いを味わうと煙草を捨て、「準備ができ次第行ってくるよ」とこの楽しい同期に約束した。
* * *
「やっぱりダメだった?」
「えっ?」
協会を訪問してきた後、デスクに戻った名央は、先輩からかけられた声にはっとした。時計を見れば、協会にアポを取った時刻から数時間が経過している。
何時に帰社したのか記憶もないが、少なくとも一時間ばかり、自動操縦のように仕事をしていたらしいことが、PCを見てわかった。
「いえ、大丈夫でした。課題はもらいましたが、セミナーの協力、出展とも間違いないです」
「本当か!」