悪魔くんとナイショで同居しています





「そんな……だって魔界に行くなんて。それはつまり、悪魔になるってことなんだよ?」

「分かってるよ。でも、アーラが言ってたんだもん。私を殺す事実は何があっても覆せないんだって」



だからってアーラを消す力量なんて無い。

ってゆうか……もうそんなことはしたくない。



そうなれば運命を受け入れるしかないんだよ。

一人ぼっちにならない為には、アーラのそばにいるしかないんだよ。



しんみりしないように、極力明るく話したつもりだったけど。

次咲くんは唇を震わせながら、今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。



「そんな顔しないでよ、次咲くん」

「だって……何もかも僕のせいじゃないか。僕が悪魔なんか召喚しなかったらこんなことにはならなかったんだ」



次咲くんの浅黒い頬を一すじの涙が伝った。



「そうだね、次咲くんのせいだよ。だったら罰として、私を絶対に忘れないでね」

「そんなこと……言わないでよ奏ちゃん」



くしゃくしゃになりながら滝のように涙を流すその顔に思わず笑いそうになった。




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