お説教から始まる恋~キミとの距離は縦2メートル~
社会人として日々ご活躍の皆様には、何を甘えたことを、とお叱りを受けるだろうか。

朝起きて決まった時間に間に合うように通勤をし、週5日働くというのは、現代日本において多くの社会人が当たり前にそうしていることだ。
労働基準法で定められている週5日、1日8時間なんて易しい方で、残業の多い会社でお勤めの方から法定労働時間なんてあったものじゃないという声もたびたび聞く。
そう思えば、いい派遣先だったのかもしれないけれど。

思い返せば高校時代からそうだった。
毎日朝起きて1時間目に間に合うように学校に行く、というのが辛かった。
いじめにあっていたわけではない。
勉強についていけなかったわけでもない。
家庭環境もすこぶる円満だ。
登校さえしてしまえば学校は楽しく、放課後も部活に参加していた。

それでも、毎朝起きる時間になると、登校するのが嫌になる。
自分では理由が見つからなかった。両親や教師からは怠慢だ、と言われた。
言われたところで、どうしようもなかったが。

みんなはどうして当たり前にできるのだろう。
学校に行くのが楽しい子は別として、
本当は学校に行くのが嫌だとか、面倒くさいと思っている子もいるはずだ。
そういう子は、一体どうやって登校までこぎつけるの?
真面目に教えてほしい。

結局、その疑問は卒業するまでわからないままだったが、何とか卒業はできた。
1時間目に間に合わなくても途中からでも授業を受けたことと、担任の計らいのおかげだ。
働きたくないという理由で大学にも進学した。
大学で、なりたいもの、働きたい職業を見つければいいと言われて。

結論から言うと、見つからなかった。
みんな、見つからなくてもある程度のところで妥協して就職したのだろうが、
…就職しなければならなかったのだろうが、
わたしにはできなかった。

それでも、親のすねをかじることには抵抗があった。
健康な身体があるのに働かず、実家で親に生活の世話をしてもらって過ごしたり、世話をしてもらわなくても働きに出ないでだらだら生活するのは、人としていけないことのような気がした。
家族がご近所に後ろ指さされるのも申し訳ない。
自分のことで迷惑をかけたくなかった。

だから実家には普通に就職したよと嘘をつき、さも働き者のように見せかけて、大学卒業後は独り暮らしを始めた。

< 10 / 51 >

この作品をシェア

pagetop