例えば危ない橋だったとして
しかし、2時間後にはそんな黒澤くんの優しさなど無用とされてしまったらしい。
いつの間にかわたしのジョッキは軽く4杯を空け、5杯目に突入している。
「だからってあんな言い方しなくても良いと思わない!? 腹立つ~っ。そりゃわたしは何も出来ない子どもみたいなもんですよ……」
「よっぽど悔しかったんだな……じゃあ、これから見返してやれ」
それでも黒澤くんは微笑んでくれた。
あぁ……なんて素敵な笑顔なの……。キラキラまばゆい。
「黒澤くん……優しいねぇ~」
気付けば隣の黒澤くんの肩に頭を乗せて、体を預けていた。
あれ? わたし何をしてるんだ?
「はっ! ごめん!! 今のナシ!」
ふと我に返って、慌てて体を引き離した。
「なんで? いいよ、甘えてよ。俺今日は嬉しいよ、素の榊が見れたみたいで」
「へっ……」
わたしの顔は真っ赤になっているだろうか。
酔いが回っているせいなのか、何か甘い台詞を向けられたからなのか……顔が熱くてふらふらする。
どんどん早く大きくなってゆく、心臓の音が鳴り響く。
何その、恋人に向けるみたいな言葉……。
顔こそこちらは向いておらず、手元のハイボールに視線は落とされていたが、完璧星人にそんな台詞吐かれたら、ほとんどの女の子はイチコロだろう。
わたしだって、例外ではない──