例えば危ない橋だったとして

会社から駅の方面へ進むと、居酒屋やバルなどがぽつぽつと点在しており、いずれの店も盛り上がりを見せ始めている。

適当な居酒屋に入り、カウンターの席に通され、並んで座った。
普段から隣に並んで教えて貰っているけれど、会社とはまた違う雰囲気に、なんだかドキドキしてしまう。

こんなイケメンとふたりきりで食事に行く機会がわたしに訪れるとは。
今になって、急に意識してしまって、顔をパタパタと手で扇いだ。

「なんか、まだまだ暑いね、もう10月も半ばなのに」
「そう? 此処焼いてる前だからじゃない?」

カウンターの中では、炭火で焼き鳥の調理中で、美味しそうな匂いが漂って来る。


「お疲れー」

とりあえず生ビールのジョッキを合わせて乾杯をした。

「もう2週間だな。まだまだ慣れないかもしれないけど」
「全然慣れないよ、仕事もまだ基本中の基本くらいだろうし」

黒澤くんは、敢えて今日の電話については触れず、部署内の人たちの話などをして和ませてくれた。
本当に出来た人だと感心してしまう。

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