例えば危ない橋だったとして
翌日曜日、朝はゆっくりして、昼前から街へ出掛けた。
百貨店も入っている高層ビルの中の映画館へ出向いた。
映画はしっとりとした雰囲気あるラブストーリーで、主演の俳優がだらしなくも男らしく、格好良かった。
物語が佳境に差し掛かった頃、皐が手を繋いで来たので、どきりとした。
映画の切ない恋心とリンクして、皐の気持ちが伝わって来るようで、絡ませた手を強く握り返した。
エンドロールが流れ、館内の灯りが点いた時、僅かに皐の目元が潤んでいるように見て取れた。
「……良い映画だったね」
「……うん、良かった」
皐は返事をしながら少し鼻の頭を掻いて、照れを浮かべた。
また初めての彼を見つけた。
その後は何となしに、お店を見て回った。
好きな作家の新しい単行本が発売になったので、本屋へ寄って貰った。
会計を済ませ皐の姿を探すと、音楽雑誌を眺めていた。
「……ロックが好きなの?」
後ろから声を掛けると、振り向き答える。
「うん、ほぼロックしか聴かない」
そういえば忘年会でもロックバンドの曲を歌っていたが、雑誌の内容から察するに、普段はもっとコアなバンドを好んで聴いているようだ。
「このバンド、わたしも好きだよ」
「え、知ってるの?」
「うん、多分皐程は詳しくないけど……最近聴いてる。皐は古いCDも聴いてるの?」
「うんじゃあ、今度おすすめ持って来るから……その本読んだら貸して?」
「……うん」
そんな些細なお気に入りの共有が、とても嬉しかった。