例えば危ない橋だったとして
そこまで決意していても、黒澤くんと顔を合わせると、意志が揺らぎそうに感じて、参った。
今日も会社では、目もくらむような輝く笑顔を浮かべている。
あの弱々しい姿を見せた人とは別人のようだ。
もしかして……わたしにだけ?
片眉を下げた笑顔とか、切なげな表情とか、見せてくれるの?
考え始めると、途端に胸が締め付けられる。
黒澤くんがわたしに気付いて声を掛けてくれる。
「おはよう」
穏やかな笑顔で安心して、挨拶を返す。
「おはよ」
お家は大丈夫だった?
と思ったけれど、人目もあるし、聞いて良い話かもわからなかったので、黙った。
今週も仕事が始まった。
スイッチをオンにして、まずは金曜日の遅々に返って来ていた工事照会の結果に目を通す。
しばし工事照会の二次回答を営業部門へ返信していると、朝っぱらから発注部門より電話が掛かって来た。
発注部門は、工事照会の結果、設備が無かった場合などに構築を依頼し、工事を起こしてもらう部署だ。