例えば危ない橋だったとして

月曜日に続いて水曜日と、秘密の逢瀬を重ねた。
昼を告げる鐘が鳴り終わる頃、目と目で合図をして、資料室で落ち合う。
指先を絡め合って、甘いキスを交わした。


だけど、こんなことを続けていたら、いつか誰かに見つかるに違いないと冷や汗が流れた。
もうこの関係に限界を感じて来ていた。

きちんと付き合って、約束をして、外で会えば良い。
そうするべきだ。


わたしは仕事に精を出した。
黒澤くんとこんな風に密会していても、支障を来さないで居られるか、自分で確認する意味もあった。
気を張って、丁寧に作業に当たった。

木曜日、また発注部門の田浦さんから電話が掛かって来た。

『先日の市庁の現場事務所の件なんですけど、電柱の撤去はまだ先になるみたいなんですよ。それで、今回はとりあえず電柱で登録して、工事を進めて貰えますか? 設備構築も同時に進めて行きますので』
「えっ、そうなんですか? 大丈夫なんですかね?」

『協力会社には確認してありますんで、大丈夫です』

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