クールな社長の溺愛宣言!?
「清家、先ほどの会議の新規プロジェクトのことだが」

「会議の後すぐに担当者に声をかけて、あと三十分ほどでこちらに来る予定になっています」

 会議中の態度から、社長が担当者と直接話を詰めたいと考えていることはすぐにわかった。社長は仕事の進め方にはこだわりがないようで、他の重役たちが難色を示す企画であっても、自分がよいと思えば重役たちを飛び越し、直接担当者から話を聞いてGOサインを出すことがしばしばあった。

「そうか」

 私もすぐに、パソコンに向かう。他の秘書と同じように私にも秘書課にデスクがあったが、もっぱら社長室に新設された自分用のデスクにばかりいた。

 これも私をいちいち呼びつけるのが面倒だからと、社長の鶴のひと声で決まったことだ。

 私は机の上に山積みになった仕事を片づけ始める。社長が新たな仕事を始めると、比例して私の仕事量も増えていく。

「これ、まとめて。それと先月の市場調査の結果は?」

「すぐにお持ちします」

 今日は終電で帰れるだろうか? いや、そんなことを考えている時間さえ惜しい。

 私は目の前のキーボードをあらん限りの速さで打ち始めた。
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