クールな社長の溺愛宣言!?
「僕は砂田(すなだ)です、三十七歳。これでも社長です。よろしくね」

 セルフレームの眼鏡を持ち上げて、にっこりと笑う砂田さんは、見るからに優しそうで確かに社長っぽくはない。

「それと……おーい」

 砂田さんが声を上げると、衝立の向こうから目がくりっとしたショートカットの小柄な女性が現れた。シマリスを連想させるかわいらしい人で、目が合うとニコッと微笑みかけてくれる。

「こっちも砂田さん――僕の奥さんね。僕と同じ歳だよ」

「よろしくお願いします」

 私が頭を下げると、自己紹介をしてくれた。

「砂田希望(のぞみ)です。会社ではややこしいから、みんな苗字ではなく名前で呼んでくれるの。あなたもそうしてくれるとうれしいです」

「はい、そうさせていただきます。清家梓です。来週からよろしくお願いします」

 私は姿勢を正して、もう一度頭を下げた。

「うちの事務仕事はすべて希望がやっているから、清家さんは彼女に色々と教わって」

「はい」

 砂田さんの横でニコニコと笑う希望さんを見ていると、喜びとともに抱いていた不安が少しずつ薄まっていく。

「他にはプログラムを担当している男性社員がふたりいるんだけど……今朝、徹夜明けで納品したから、みんなまだ出社してないんだ」

 苦笑いの砂田さんが申し訳なさそうに頭を掻(か)いた。

「いえ、来週出社した時に改めてご挨拶させていただきます」

「じゃあ始業は九時からになってるから、少し前にここに来て」

「はい。本当にありがとうございます!」

 砂田夫妻は深く頭を下げた私を見て、ふたりよく似た笑顔を向けてくれた。
 
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