さよならの前に。
「玲!本当にありがとう。」


その言葉に玲の顔は一瞬驚いていた。


「もし…玲と会えてなかったら私こんな笑えてなかった。玲のおかげで明るくなれた。」


そうすると玲は静かに言った。


「ひとつだけお願いしてもいいか?」


そう言った玲の声は微かに震えていて何かを必死に伝えたいのだと思った。


「なに?」


優しく聞くと玲はゆっくりと顔を上げ言った。


「最後に抱きしめてもいいかな?」


私は答えも言わず玲に抱きついた。



「幸せになってね?玲。私は大切な人の泣き顔なんて見たくない。だから笑って?」


そういうと玲も私の腰に手を回し抱きしめた。


その抱きしめた力強さは私に安心感をもたらし頑張れと言っているようにも思えた。
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